これまで知り得なかったメンバーの内面を知るため現場主導でインサイズを導入。
多様な人材それぞれの価値観に合わせたコミュニケーションが増加した
背景・課題
日常的に会話していても、メンバーの本心を引き出すのは難しい
栗原:1972年に設立した当社は、パッケージ・ソフトウェアの専門商社としては、日本で最も歴史のある企業の1つです。ただ単に商品を販売するのではなく、ソフトウェアメーカーとお客様との間に立ち、導入支援はもちろん、教育やコンサルティング、保守サポートなど、お客様のビジネスを全面的に支援しています。本当の意味でお客様に適したソフトウェアを提供するため、「ソフトウェアを開発しない」「独立系を維持する」がポリシー。採用や育成においても、お客様のためにベストを尽くす「人間力」を大事にしています。
私は入社後、サービス事業部に配属され10年間勤務した後、2年間のローテーション異動で新卒採用を担当した経験があります。当社の採用は終身雇用が前提です。それだけ慎重に採用を行いますし、採用したからには必ず成果を上げる社員に育ってほしいという意図もあり、日頃から「人を見る」ことに重きを置いています。
須藤:当社は2018年に「お客様のビジネスを進化させる超サポ愉快カンパニー」というビジョンを掲げ、5カ年にわたる中期経営計画「超サポ-2022」をスタートしました。お客様からのお問い合わせをもとに問題を解決する私たちサービス事業部においても、より魅力的な組織をつくり、活性化させるために、メンバーのエンゲージメント向上を目指しています。日曜日の夜にメンバーが「明日、会社に行くのが楽しみだ」とワクワクする組織が理想です。
ただし、この「ワクワクする気持ち」は定量的に測ることが難しいと考えています。もちろん、日頃の日常会話や面談を通じて、メンバーを理解する努力はしていますが、表面には出てこない要望や不安などがあるものです。通り一遍の会話だけでは、なかなか心の内を引き出せないので、そうした部分を何とか「見える化」できないかと考えていました。
また、サービス事業部には、新任のマネジャー昇格者が複数名存在していました。できるだけ早くマネジャーとして成長してほしいと考えていましたが、一方で、マネジメントスキルはそう簡単に高められるものではありません。さらに、メンバーの価値観が多様化しており、仕事に対するスタンスも異なるため、一人ひとりに合わせたコミュニケーションが求められます。新任のマネジャーはそうした経験が少なく、メンバーの状態や価値観を踏まえたコミュニケーションが取れるよう、組織としてサポートする必要性を感じていました。
また、当社サポートセンターの維持安定に向けた体制づくりにともない、組織も大きくなり、マネジャーの数も増えました。マネジャー1人当たりで見るメンバーの人数も増えています。以前のマネジャーは、プレイングマネジャーとして現場の仕事とマネジメントの両方を担っていましたが、これからは視野を広げ、戦略的にマネジメントの比重を高めていかなくてはなりません。当然、一人ひとりとの対話が不可欠です。サービス事業部にINSIDESを導入したいと考えたのは、メンバー一人ひとりが抱えている想いや悩みなどをこれまで以上に引き出せるのではないかと期待したからです。
検討プロセス・実行施策
INSIDESがメンバーと向き合うマネジャーの助けになると期待
栗原:まずは、サービス事業部の2つの課のマネジャーとそのメンバーを対象に導入しました。
新たにマネジャーになった社員は、技術面でメンバーに指導する自信はあるけれど、マネジャーとしてメンバーとどう向き合えばいいのかは、初めての経験で戸惑いを感じていました。そのため、メンバーの心の内側を理解し、コミュニケーションのきっかけになるINSIDESは、マネジャーたちの手助けになるかもしれないという期待がありました。2回目のサーベイ実施ではさらにマネジャー(課長)の上司である部長にも対象を拡大しました。
須藤:サーベイ結果を用いたのは、主に中間面談や1on1の場面です。ただ会話をするよりも、テーマや材料があった方が目線を合わせながら話すことができます。何も情報がないところから話すのと、INSIDESを実施してから話すのでは、コミュニケーションの深さが違います。お互いに共感しあえる雰囲気のなかで、サーベイ結果をもとに、「感じていることを素直に教えてほしい」「この課題って具体的にどんなことが起きているの?」など、具体的かつストレートに、仕事に対する不安や不満を共有することができるようになりました。
当社はもともと、何でもフランクに話すことができる風通しの良い環境ですが、INSIDESの実施後は、さらに開放性が増して、お互いの価値観を尊重しあえる職場になってきたと感じています。マネジャーがメンバーの本音を引き出せるというだけでなく、メンバーがこれまで上手く整理できていなかった自分の心のなかを言語化することにも役立ったようです。
栗原:ソフトウェアを使うときは、正しい入力をすれば、予想通りの結果が出ます。しかし、相手が人間となると、そう単純にはいかないことがたくさんあります。サーベイ結果を見て、新任マネジャーたちはその複雑さに気づかされたようです。私自身、驚いたことがあります。ある女性メンバーは、日頃からテキパキと仕事をこなしており、とても優秀でした。その仕事量から、「彼女はおそらく120%の力を出している」と思っていたのです。ところが、本人は「さらに難度の高い仕事へ挑戦したい」と感じていました。もし、この状態に気づかなかったら、モチベーション低下につながっていたかもしれません。
成果・今後の取り組み
メンバーの成長やキャリアについて話す時間が増えた
須藤:マネジャーたちの会話が少しずつ変化していることを感じています。これまではどちらかというと、今現在起きている問題や、業務の近況報告、技術的な話が多かったのですが、最近ではメンバーの価値観を理解したうえで「こういう仕事を任せたら、より動機付けできるんじゃないか」という具合に、メンバーの成長やその先にあるキャリアに言及することが多くなってきました。
また、例えば、人から感謝されることに喜びを感じるメンバーに「技術で尖ってほしい」と言っても響かないと思います。そもそもメンバーのことを理解していれば、そういう言葉は出てこないはず。そういう意味で、マネジャーからメンバーへの問いかけの質も大きく変わっていると感じます。
栗原:会社の枠組を超えて、INSIDESユーザー同士で集まるミートアップイベントも、有意義な時間でした。通常のサービスセミナーやイベントはインプット中心になりがちですが、このイベントは内省とアウトプットにウェイトが置かれているイベントだったので、あらためて自分の考えを見つめるきっかけになったと思います。一緒に参加したマネジャーは、テクノロジー系のイベントに参加した経験はあるけれど、マネジメントについて考えるイベントに参加するのは初めてでした。イベントが終わった後、「マネジメントや人に対して考える時間は大事ですね」と語っていたので、彼が得るものも大きかったのだと思います。これはイベントに限らずですが、INSIDESは単なるサーベイではなく、上司同士や上司とメンバー間の対話が促進され、お互いの理解が深まることで、関係性が変化していくようなツールです。事業部の取り組みが注目され、グループ会社でもINSIDESを実施することが決まりました。個人的な考えですが、もっと多くのマネジャーに広げていきたいと考えています。
須藤:私自身もINSIDESを通じて、マネジメントに対する考え方が変化しました。これまでもチームワークを大切にしてやってきましたし、メンバーとの息も合っていると感じていました。しかし、一人ひとりのメンバーを個別に見て、個性や価値観を理解したうえで、深い問いかけをすることはできていなかったのです。かつてはメンバーを引っ張っていくのがマネジャーの役目というイメージを持っていましたが、それぞれが自分の力を最大限発揮できるように支援するフォロワーシップ型のマネジャーこそが、現在は求められているのだと思います。ダイバーシティやインクルージョンの観点が重視されるようになり、より一層メンバー個々人に目を向けていきたいと考えていたタイミングで、INSIDESを知ることができたのは、自分にとって幸運でした。きっと、私と同じような感想をマネジャーたちも抱いていると思います。
企業紹介
株式会社アシスト
1971年、システム開発株式会社のソフトウェア・プロダクト部として発足、翌1972年、ビル・トッテンが株式会社アシストを設立し、汎用機用パッケージ・ソフトウェア販売の専門商社として活動を開始。ソフトウェアを提供するのではなく、ソフトウェアで課題を解決する「パッケージ・インテグレーター」。世界中から優良かつどの企業でも汎用的に使えるソフトウェアを発掘し、日本企業が使いこなせるか検証し、「アシスト認定ソフトウェア」として提供する。それらを徹底的に活用できるよう、きめ細かくサポートしている。
※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。