インサイズ×1on1で実現するダイバーシティ。
世代間ギャップを乗り越え、女性活躍を後押しするのは“コミュニケーション”
背景・課題
コミュニケーション不足の要因は、年齢が離れた相手と本音で語り合うことの難しさにあった
当社はお客様第一主義を経営理念として、東京の秋葉原を中心に全国24店舗でパソコンやデジタル機器、ゲームソフトなどの販売と、買取や修理サポート事業を展開しています。社員は約1000名おり、そのうち14%が女性従業員です。私が所属する女性活躍推進チームのミッションは、2030年までに女性管理職比率を20%に上げることです。人事部門と連携してストレスチェックや女性活躍関連の「くるみん認定」などの各種施策を支援し、INSIDESを絡めた1on1施策の事務局としても活動しています。
当社がINSIDESを導入した背景には「従業員同士のコミュニケーション不足」があり、コミュニケーションを活性化させることが課題でした。当社は、2019年に新卒採用を再開しており、社員の比率に40代・20代が多く30代が少ないという世代の偏りがありました。その影響で、世代間ギャップが生じていたのです。そのギャップを埋めるためには、一人ひとりのメンバーとコミュニケーションを密に図ることが重要だと考えました。しかしながら、年齢が離れていると本音で語り合うことは難しいものです。年4回の考課面談などで、マネジャーとメンバーが1対1で話す機会はあるものの、メンバーのコンディションや困りごとを聞く機会としては機能していませんでした。そこで、1on1を始めることにしたのです。
検討プロセス・実行施策
導入の決め手は1on1の質を高められる詳細なレポート
1on1の形骸化を防ぐためにも、取り組み当初からサービスの導入を考えていました。1on1の場を設けるためだけのツールではなく、内容の質を高めていけるサービスを探していた時期に、INSIDESを知りました。他のサービスとも比較検討しましたが、INSIDESを選んだ決め手は、詳細なレポートが出る点や、経過で変化が見られる点です。
1on1を実施する前にメンバーの心の状態が見える化されていれば、マネジャーとしても話を聞くきっかけができますし、対話の中身を濃くすることができると感じたのです。また、コンディション改善の進捗や変化を追いかけられるので、効果測定や1on1の質向上にも役立てられるのではと期待しました。
INSIDES導入にあたり、当社の研修を取りまとめているトレーニングセンターで、マネジャー向けにどのように活用するのかレクチャーもしています。1on1の質を向上させるために、階層別研修などと同じくしっかりと時間を取って、INSIDESの活用の仕方やメンバーとの向き合い方などについて丁寧に説明・研修を行いました。
1on1のルールは「上司は聞く8割、話す2割」。現場の理解を得ることが大切
それまでの考課面談などでは、マネジャーが一方的に話している状態になりがちで、全社的に同じような傾向が見受けられました。その状態のまま1on1をしても、対話の質は高まりません。1on1は考課面談とは違いマネジャーが話す場ではなく、メンバーの話を聞く場にしたいという想いがあったので、「聞く8割、話す2割でお願いします」と1on1のルールを事前にマネジャーへ周知しました。一方で、メンバーには「まずは話してほしい」と伝えています。
当初は、「年4回の考課面談と何が違うんですか」など、取り組みに対してネガティブな意見があったことも事実です。そのため、ソフマップが抱えている課題を共有し、それを解決するために実施することを説明して、1on1の目的を理解してもらいました。仕組みをつくって「あとは現場でお願いします」では取り組みは浸透しません。関係者一人ひとりの理解を得てから運用することが大事だと思います。
また、事務局から現場のマネジャーにこまめに働きかけ、1on1の前にメンバー全員がINSIDESのアンケートに回答することを徹底しています。小売業の特性として、店頭業務が大半であるため、1人1台のPCが支給されているわけではありません。そのため、INSIDESの回答も共有のPCで行うことになりますが、一人ひとり個別のアカウントを作って運用しているので、秘匿性の問題なども発生していません。
初回のINSIDESの結果は、同業他社と比較してネガティブなメンバーが多かったので、正直とてもショックでした。この結果を受け、INSIDESの担当者から「結果に対して漠然と一喜一憂するのではなく、ネガティブな結果が出た要因をつかむこと」「本当にケアが必要なメンバーを抽出し、しっかりとケアしていくこと」など、かなり細かく助言をいただきました。初回こそ望ましい結果ではありませんでしたが、「あとは上がるだけ」と前向きに捉え、1on1の質を高めてメンバーの状態をポジティブに変えていこうと考えました。
そうして迎えた2回目は、レポートの経過推移で確認したところ、大幅な改善が見られました。私は普段からできるだけ時間をつくって店舗を訪問してフロアをまわり、メンバーの様子を見るようにしています。その際、INSIDESの結果が改善したメンバーは、とてもイキイキと働いていたのです。しかも、面談メモの内容が回を追うごとに濃くなっているのを見て、マネジャーとメンバーのコミュニケーションも取れていることが分かり、事務局として、とてもうれしく思いました。メンバー全員の状態が改善されたと断言はできませんが、会社全体でポジティブな方向に向かっていることを感じられたのは確かです。
成果・今後の取り組み
コミュニケーションが活発になり、ストレスチェックのスコアも改善
1on1の回数を重ねていくなかで、マネジャーの意識も変化していると感じます。「これまではずっと自分がしゃべってばかりでしたが、話を聞くことも重要だと認識しました」というマネジャーの声もありました。メンバーからも「話しにくい店長かな?と思っていたけれど、実際は気さくで話しやすく悩みも丁寧に聞いてくれたので、もっとどんどん話しかければよかった」「自分の苦しさを理解してもらい、前に進む勇気をもらった」など、うれしいコメントが事務局の私たちにも届いています。私が新人のころ、同じような仕組みがあったらよかったのにと思いますね。
コミュニケーションは世代問わず活発になりつつあります。会議などでの様子を見ても、かつては「何か質問はありますか」という問いかけに対して、誰も反応しないことがありました。それが最近では、かなり活発に質問が上がり、そこから建設的なコミュニケーションが生まれています。
INSIDESを活用した1on1については、階層別研修など各種研修を行うトレーニングセンターの研修内容にも組み込まれ、さらなるスキルアップを目指しています。
1on1の取り組みを始めて1年が経過し、他社のサービスで行っているストレスチェックのエンゲージメントのスコアが1ポイント上がりました。本来スコアを上げにくく、これまでなかなか改善が見られなかったこともあり、この結果には上層部も非常に喜んでいました。
初めてINSIDESのレポートを見たときには、一生懸命働いてくれている部下のメンタルが心配で、状況を変えてあげよう・話を聞こうと思いました。
1on1のおかげで定期的に話をする・聞くための機会が設けられたので、日々の指示命令とは別に、会話の時間が増えています。
INSIDESの結果を見ると、自分は「結果重視」でビジネスライクなコミュニケーションを好むタイプなのですが、メンバーは「創造重視」タイプでどちらかというと和気あいあいとしたウェットなコミュニケーションを好む傾向にありました。そのため、1on1では業務の話に閉じず、プライベートな雑談なども取り入れるようにしています。体重が増えたように見えたので健康面が心配でしたが、ジムに入会したとのことで少し安心しました(笑)。
1on1の取り組みのおかげで、上司への印象が変わりました。他愛のない会話も増えて距離感がかなり近くなったと感じています。
所属しているチームも、連携をより強めていこうという雰囲気になっていますし、自身もポジティブに業務に取り組めています。また、業務改善に役立つ情報への感度が上がりました。
1on1で印象に残っているのは、上司からの「結果にこだわれ、99%で諦めずに100%を目指せ」という言葉です。厳しさのある言葉ですが、普段から信頼関係が構築されているなかでこの言葉を受け取ることができたので、とても心に響きました。この声掛けが、最後まで貪欲に成果を追い求める心構えに繋がっていると感じます。
女性活躍推進の取り組みが2030年に花開くことを目指して、メンバー一人ひとりの成長を後押ししたい
女性活躍推進面でも、取り組みのよい影響が見られます。例えば、ストレスチェックの結果などを見ても、女性の方がストレスを感じている傾向があるようです。女性の相談相手も少なく、相談しづらいと感じている女性メンバーも少なくないのでしょう。また、今まではさまざまな社内制度はあっても、その存在を知らずに十分に制度を活用できていない社員もいました。しかし1on1で育児や介護の悩みをマネジャーに話しやすくなったことで、そういった制度が適切に提供され、悩んでいる社員をサポートできる体制になっています。
女性の管理職比率を上げていくには、メンバーが今持っている能力の掘り起こしが重要です。今は畑を耕して種をまいている段階かもしれませんが、これから芽が出るメンバーをキャッチアップすることで、2030年に向けて花開くのを願っています。直属のマネジャーには、1on1のコミュニケーションを通じて、彼女たちの能力を掘り起こし、一人ひとりの成長を促してもらえたらと思います。
INSIDESと1on1の取り組みは、世代間ギャップを埋めるだけでなく、ダイバーシティの観点でもより一層機能させていきたいと考えています。
企業紹介
株式会社ソフマップ
パソコン・スマートフォン・デジタル機器・ソフト(新品・中古)の販売・買取を軸に、パソコン・スマートフォンなどの購入時・購入後サポート(ビックカメラ・コジマ店内のサービス・サポートカウンターの運営)、アウトレット専門店「ビックカメラアウトレット」やキャラクター・アニメの専門店「animega」の運営、購入後サポートを電話や遠隔操作で行うコンタクトセンターの運営などの事業を展開。「お客様第一主義」を経営理念に据え、事業を通じて価値創造を目指す。
※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。